不整脈かもしれない主な症状を解説
不整脈全般の自覚症状には、一例として、以下のものがあります。
これらは、いってみれば不整脈に気づくチャンス。決して見逃さないようにしましょう。
- ドキドキする
- 脈が飛ぶ
- 息切れ
- めまい
- 胸が苦しい
- 胸の痛みを感じる
- 息苦しい
- 咳をしたくなる
- 胃や食道に異物がつまったような違和感がある
- 気を失う (*1)
(*1)一般社団法人 日本循環器学会
心臓は規則正しく拍動を繰り返すことで、全身に血液を送り出しています。
この拍動を生んでいるのが、洞房結節と呼ばれる心臓内の小さな領域で作られる電気信号。これが左心房と右心房に送られ、二つの心房が同時に収縮します。
これにより、左心室と右心室に血液が満たされます。
続いて電気信号が心室に送られると、今度は心室が収縮し、全身に血液を送り出します。
通常、心拍として感じられるものは心筋(心室)の収縮。このリズムは規則正しく続けられ、安静時で1分間に50~100回、規則正しく行われます。
しかし何らかの原因でこの拍動のリズムが狂ってしまうことがあります。
これが、「不整脈」が起きている状態。
リズムの狂い方により、通常より速くなる状態を「頻脈性不整脈」、遅くなる状態を「徐脈性不整脈」、通常のリズムにときどき速い脈が入り込む状態を「期外収縮」という3つに分類されます。
不整脈のなかには、まったく自覚症状がないものもあり、健康診断などで心電図検査を行い、はじめて不整脈があることに気がついた、という人も少なくありません。
しかし不整脈は放置すると進行したり、なかには致死性の危険な不整脈もあったりするため、できるだけ早く気づき、適切に対処することが必要です。
「頻脈性不整脈」「徐脈性不整脈」「期外収縮」の種類による症状の違い
不整脈には「頻脈性不整脈」「徐脈性不整脈」「期外収縮」の3種類があり、現れる症状に違いが出ることもあります。
どのような症状が現れるのか、種類ごとに概要を解説します。
1.頻脈性不整脈
頻脈性不整脈には、主に以下の種類があります。
- 心房細動/心房粗動 どちらも心房を起源とする不整脈。心房粗動は心房での電気的活動の調和は取れているが、非常に速く拍動するものをいう
- 心室頻拍 心室に起源のある不整脈。場合によっては突然死を招く
- 上室頻拍 上室とは心房のこと。つまり心房内で起きる頻拍を上室頻拍という
- 心室細動 心室を起源とし、危険度の高い不整脈。突然死のリスクが高い
これらの頻脈性不整脈を発症したり、持続したりすると、主に以下の症状が現れます。
<心房に起源を持つ上室性不整脈>
- 動悸
- 胸痛
- 胸部不快感
- 胸部違和感
<心室に起源を持つ心室性不整脈>
- 冷や汗を伴う動悸
- めまい
- 眼前暗黒感
- 失神
(*2) 日本循環器学会 / 日本不整脈心電学会合同ガイドライン「2022 年改訂版 不整脈の診断とリスク評価に関するガイドライン」
2.徐脈性不整脈
徐脈性不整脈には、主に以下の種類があります。
- 洞不全症候群 電気信号を作る洞結節で障害が起き、一時的に電気信号が作られなかったり、送られなかったりする
- 房室ブロック 心房の電気的興奮が心室に伝わらず、場合によっては突然死の原因になる
徐脈性不整脈が継続すると、体を動かしている時に次のような症状が現れることがあります。
- 息切れ
- めまい
- 胸部不快感
しかし、眠っているときや安静にしているときには症状は出にくいとされています。
また、普段からマラソンなど、持久力が必要なスポーツをしている人の場合は症状が出にくく、無症状のうちに徐脈性不整脈が進行していくことがあるので注意が必要です。(*3)
(*3) 日本循環器学会 / 日本不整脈心電学会合同ガイドライン「2022 年改訂版 不整脈の診断とリスク評価に関するガイドライン」
3.期外収縮
期外収縮には、主に以下の種類があります。
- 心室性期外収縮 心室で起きる期外収縮
- 上室性期外収縮(心房性期外収縮) 主に心房で起きる期外収縮
一般的に、心室性期外収縮の方がリスクが大きく、場合によっては突然死につながることもあります。
期外収縮が起きると、次のような症状が見られることがあります。
- ドキドキする
- 胸がつまずく
- 胸がつまる
- 脈が飛ぶ
- 心臓がドキンと大きく動く
- 布団に寝ているときやソファーに寝そべっていると上体が動くのを感じ、地震が起きているような気がする
- 脈が一拍抜けるような感じがする
- 喉がつまる
- 胸に空気が入ったような感じがする
- 胸がおされる
ただし期外収縮の場合、睡眠不足や喫煙、アルコールの摂取などでも生じることがあります。
そのため、医学的に治療を行う必要があるのか、あるいは生活指導を行うことで期外収縮を改善することができるのか、正しく見極める必要があります。(*4)
(*4) 国立研究開発法人 科学技術振興機構 特集:循環器心身医学の現在 「不整脈の心身医学」
不整脈が疑われる時の受診の目安と注意すべき症状
「不整脈になりやすい人」の特徴には、心疾患や肺疾患、高血圧などの既往がある人、過度のアルコールや大量のカフェインを摂取する習慣がある人、喫煙の習慣がある人、ストレス過多や肥満傾向の人など、さまざまあります。
また、年齢が上がるにつれて心臓の機能も衰えてくるため、加齢も不整脈の重大な因子となります。
そのため、不整脈は決して珍しい疾患ではありません。
健康でも、健康診断などで心電図検査を受けたとき、不整脈を指摘される人は多いとされています。
しかし、そのほとんどが治療の不要な不整脈。
特に自覚症状がなかったり、心筋梗塞や狭心症などの既往がなかったり、そのような場合には特に治療の必要はありません。
ただし自覚症状がなくても、なかには致死性の不整脈もあるため、「病院に行かなくても大丈夫」と自分で判断せず、必ず一度は専門医を受診し、危険な不整脈ではないか確認してもらうことが必要です。
診察の際、医師は主に以下について確認します。
できるだけ正確に診断をつけられるよう、必要な情報はメモをしておくと良いでしょう。
- いつから、どんな症状を、どの程度自覚しているか
- 病気の既往はないか
- 家族に不整脈を持っている人がいないか
それから、不整脈の症状にはさまざまなものがありますが、特に気をつけたいのは、次の症状です。
- 動悸
- 息切れ
- めまい
命に危険を及ぼす怖い不整脈の場合、予兆としてこれらの症状が現れることが少なくありません。
心室頻拍やブルガダ症候群のように、突然死につながる危険な不整脈も、このような症状を前触れとして示すことがあります。
また、現在非常に患者数が増加している心房細動も、このような症状が見られ、「動悸」「息切れ」「めまい」は心房細動の3大症状と言われるくらい、よく起こります。(*5)
心房細動は心室頻拍などと違って、不整脈による突然死のリスクは高くありませんが、その一方、脳梗塞や心筋梗塞などを引き起こす可能性があります。
「動悸」「息切れ」「めまい」が起きたら速やかに専門医を受診し、精密検査を受けるようにしましょう。
(*5)東京ハートリズムクリニック「心房細動の症状」
まとめ
健康診断で見つかる不整脈の多くが期外収縮です。
期外収縮の場合、特に自覚症状がなく、心疾患の既往もなければ治療の必要はないとされています。
しかしなかには自覚症状がない致死性の不整脈もあり、「不整脈と診断されたけれど、特に強い自覚症状がないから大丈夫」とは一概には言えません。
不整脈の疑いがあると指摘されたら必ず専門医の指摘を受けること。また、ここで紹介したような症状が見られる場合には、もしかしたら不整脈が進行しているかもしれません。
できるだけ早めに専門医の診察を受けるようにしましょう。
不整脈のことでお悩みでしたらご相談ください
現在では、医療技術の進歩や治療方法の多様化により、症状に合った治療を選ぶことができ、多くの不整脈が治癒可能になっています。
しかし、不整脈の中には突然死につながる危険なものもあり、その「前兆」に気づくことが非常に重要です。
健康診断で指摘を受けた方や、息切れ・胸痛・めまいなどの症状に悩まされている方は、まずは適切な診察を受けて、ご自身の不整脈の種類や程度を理解することから始めましょう。
医師一覧
-
- 不整脈
2023.08.16不整脈の手術について|さまざまな術式の概要を解説 -
- 不整脈
2023.08.16不整脈の治療法|薬物・手術療法や生活習慣の見直しについて -
- 不整脈
2023.08.16不整脈の病気|その種類や症状について -
- 不整脈
2023.08.16不整脈の症状について|危険な症状や受診の目安について解説 -
- 不整脈
2023.08.14不整脈の原因とは|心疾患や高血圧、生活習慣など引き起こす原因について解説 -
- 期外収縮不整脈
2023.03.24期外収縮とは|原因や検査、治療法について解説 -
- 徐脈性不整脈
2023.03.24徐脈とは|症状・原因・治療法について解説 -
- 頻脈性不整脈
2023.03.24頻脈とは|症状、原因、治療法について解説 -
- 不整脈
2023.03.24不整脈の症状や原因、治療法について解説